本当の資産承継とは!?
“資産承継”とは、「価値ある資産を効果的に次世代(親から子へ)へ移転させること」 と考えます。
そうすると、後継者(相続人)に価値のない資産を承継させることは、本当の資産承継とは言えないことになります。
では、価値ある資産と価値の低い(ない)資産は、どこで区別するのでしょうか・・・。
また、誰がそれを判断できるのでしょうか・・・。
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昨今、不動産で新たな問題が生じています。
不動産を相続したくない、誰ももらってくれる人がいない、売れない・・・
最近、このような相談を受けることが多くなりました。
子供たちは、「価値の低い(ない)資産」は相続したくないのです。
■古ビル
■古アパート
■古貸家
建物が古く、管理費、大規模修繕費、耐震化工事※、固定資産税などのコストが莫大にかかり、空室率の上昇とあいまって収入も激減している・・・、大規模修繕をかけるお金もない、借入もできない・・・。
※昭和56年6月1日からの建築確認申請より「新耐震基準」
売れない、借りてくれない、借家人がいて建物が取り壊せない、建物を取り壊せたとしても解体費がかかる上に売れない敷地の固定資産税が6倍に上がる、まさに四重苦・五重苦です。
建物の火災や外壁の落下物、塀の倒壊などの事故が起きれば所有者責任が問われることもあります。
コスト如何によっては、資産のように見えますが、実態は負債(いわゆる「負動産」)となります。
顕在化していないだけで、実際上は、負債になる可能性があるのです。
不動産を手放すには、譲渡や相続(贈与)で所有権を他に移さなければなりません。
「負動産」だと気づけば誰も引き継いではくれません。
第三者はもちろん、身内であったとしても・・・。
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このような価値のない(低い)資産の特徴として、「相続税評価額」が「時価」よりも高くなるという問題もあります。
■築40年(旧耐震)鉄筋コンクリート4階建の賃貸マンション
相続税評価1億円 > 時価評価5千万円
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?
それは、評価手法の違いによります。
例えば、賃貸ビルや賃貸アパートなどの収益物件は、
●相続税評価:路線価をベースとした「貸家建付地」+「建物固定資産税評価×0.7」
●時価評価 :収益及び利回りをベースとした「収益還元法による収益価格」
で、算定されます。
つまり、収益価格(時価評価)は、今後発生するであろう「収入-支出=純収益」(キャッシュフロー)の推移に着目して評価する手法ですから多額の大規模修繕費や耐震化工事などが発生する物件はその支出を計上して算定されるのです。
一方、相続税評価は、今後発生するであろう費用(支出)は考慮されません。
したがって、
低収益(収益性が低く、リスクが高い)物件は、 相続税評価 > 時価
高収益(収益性が高く、リスクが低い)物件は、 相続税評価 < 時価
となります。
ex)同じ相続税評価1億円であったとしても収益と利回り(リスク)が異なれば、時価は以下のように全く違う価格になるのです。
A物件(築古中層マンション)時価 : 年間純収益500万円÷10%=5,000万円
B物件(築浅中層賃貸ビル)時価 : 年間純収益1,000万円÷5%=2億円
このことから、価値ある資産とは、
処分性(換金性)が高く、かつ、収益性が高い資産をいいます。
10年で考えれば、A・B物件で、手取り純収益が「5,000万円」違うのです!
また、価値ある資産は、 相続税評価 < 時価 となります。
相続税対策としても「B物件」のメリットは高く、
時価2億円相当の収益物件を、相続税は1億円で評価してくれるのです。
なので、こらからの不動産会社に求められるのは、
物件管理 + α(財産診断)
という付加価値です。
付加価値として、キャッシュフローの観点からアパート経営が健全であるかどうか、本当にアパート経営が相続税対策になっているか否か(価値ある資産なのかどうか)を把握するという「財産診断」が必要となります。
結果、相続財産を診断することで、「いつ」「だれに」「なにを」移転させるかというオーナーの「意思決定」がしやすくなります。また、遺産分割時においても時価の観点から適切なアドバイスが可能となります。
ゆえに、不動産の時価がわかる不動産会社、いわゆる「コンサルティング型不動産会社」こそ、不動産オーナーの相続対策の適任者と言えるのです!
以上